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コラム
暮らしと陶器
粘土のはなし
西荻陶芸教室 山田信夫

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「我輩は土である。まだ、粘土ではない」
 ???どこかで、聞いたような言葉ですね。漱石さん、すみません。本当はどうなんでしょう
か?陶芸で使う粘土は、元は土です。そして、この「土」が良い粘土に成長するには、多くの手間
と時間が掛かるのです。土の中の色々なものを取り除いた後、1年以上も寝かせるのです。
ですから、私たち粘土を扱うものは、決して「クズ粘土」などと言って、ポイと捨ててしまわないの
です。ちょうど、お米の一粒を大切に頂く、そのように。そして、粘土はやさしく丁寧に扱えば、
作者の思い通りの作品になってくれます。でも、邪険に扱えば、曲がったり、ひびが入ったり、思い通りになってくれません。

昔読んだ本に、勤めている人は「陶芸」はしない方が良い。
なぜなら、勤めを辞めて迄、のめり込む「魔性」の女、いや、趣味である。と書かれていました。
成る程、実際始めてみると面白い。 難しいから面白い。奥が深い。
しかも、私たちの暮らしの中のいろんな場面で活躍している。
食器、酒器、花器、灯り、香り、文具、小物入れ・・・等である。
特に日本の食器ほど多様なものは無いのでは。季節感を演出したり、祝いの時をさらに
楽しくしたり、食事も和・洋・中と様々なものに対応して雰囲気を作る事が出来るなどです。
まだ、粘土にならない「私」でさえ、聞いてワクワクしてきます。
いっそのこと、会社を辞めて陶芸家とやらになってしまおうか? 等とバカな事を考えてしまいます。
(本当の私は、会社を辞めてから陶芸家になりました)

土をいじり始めてから二十数年経ちましたが、面白さはまだ続いています。始めは自分の思い通りに出来る楽しさ、最近は他の
人に使って喜んで頂く楽しさへと内容は変化していますが、知れば知るほど面白いものです。

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